根岸住宅地区跡地利用基本計画 令和3(2021)年3月 横浜市 目 次 第1章 計画策定の背景 1 1 背景・目的 1 2 本地区の課題と可能性 2 (1) 本市を取り巻く状況 2 (2) 本地区の特性と課題 3 3 跡地利用検討の経緯 6 (1) 米軍施設返還跡地利用指針 6 (2) まちづくり基本計画(協議会案) 7 4 上位計画・関連計画 8 (1) 上位計画 9 (2) 関連計画 16 第2章 跡地利用の考え方 18 1 まちづくりの全体像 18 2 まちづくりのテーマとコンセプト 19 3 分野別方針 22 (1) 教育・研究 22 (2) 景観・環境 24 (3) 道路・交通 28 (4) 防災・減災 30 第3章 土地利用計画 38 1 導入機能 38 2 道路 39 3 公園・緑地 40 4 土地利用計画(ゾーニング) 41 第4章 事業手法とスケジュール 42 1 都市基盤整備 42 2 まちづくりのルール 42 3 スケジュール 43 ここに画像があります。 根岸住宅地区の位置図が示されております。 画像の説明は終わりです。 第1章 計画策定の背景 1 背景・目的 根岸住宅地区(以下「本地区」という。)は中区、南区、磯子区にまたがる約43haの米軍施設であり、昭和22(1947)年に米軍人やその家族などが居住する住宅地区として接収されました。その後、平成16(2004)年の日米合同委員会における返還方針の合意を経て、平成18(2006)年6月に「米軍施設返還跡地利用指針」を策定しました。平成27(2015)年には米軍関係居住者が全て退去し、平成30(2018)年11月に平成16(2004)年の返還方針の合意の見直しがされました。本地区に関する見直しの主な内容は、「土地所有者の方々に当該土地を早期に引き渡し、跡地が利用できるようにするための原状回復作業を速やかに実施する」ことであり、本地区の返還が現実的になってきました。 本市としては、戦後70数年に渡り、貴重な土地を使用する制限を受けてきた地権者の方々はもちろんのこと、米軍施設があることで不便を強いられてきた周辺にお住まいの方々の想いも汲み、地域の活性化を図るための魅力的なまちづくりを実現させるとともに、返還後の跡地利用が本市の様々な都市課題を解決する契機と捉えています。 現時点において、返還の時期は示されておりませんが、返還後のまちづくりの具体化に向け、地権者の方々の意向や本地区周辺の状況等を踏まえ、根岸住宅地区跡地利用基本計画(以下「本基本計画」という。)を、本地区における土地利用の基本方針として定めるものです。 ここに画像があります。 根岸住宅地区に関する航空写真です。 画像の説明は終わりです。 2 本地区の課題と可能性 (1)本市を取り巻く状況 本市の人口は今後減少に転じることが見込まれ、人口減少社会の到来や超高齢社会の進展といったこれまで経験したことのない社会状況を迎えます。 このような状況の中で、都市間競争の加速や、経済活動のグローバル化等に対応するため、人や企業を惹きつける魅力あるまちづくりの推進や、市内企業の事業機会の拡大を促し、経済の更なる活性化を推進することがこれまで以上に求められます。市内では、横浜環状道路や神奈川東部方面線の開業など、交通ネットワークに大きな変化が見込まれ、これらの利便性向上の機会を最大限に活用して、都市の活性化に繋げることが必要です。 また、COP21(国連気候変動枠組条約第21回締約国会議)においてパリ協定が採択されたことで世界的に温室効果ガス排出量削減の取り組みが加速しており、本市も地球温暖化対策などを積極的に推進し、環境分野の取り組みを加速しています。そのほか、本市では文化芸術への関心が高まっており、横浜トリエンナーレの開催などの取り組みを通じて、文化芸術創造都市としての魅力を国内外に発信しています。 一方、地域課題が複雑化・多様化し、地域の関係の希薄化が進む中で、魅力と活力あふれる地域をつくるためにも地域コミュニティの活力向上が不可欠です。また、全国的に多発している局地的な大雨等や大規模地震から市民の生命と財産を守るため、防災・減災機能の強化や、都市インフラの老朽化の進行に対する適切な保全・更新を今後も行っていく必要があります。 上記のように、本市を取り巻く環境が大きな転換期を迎える中で、都市課題の解決や地域の活性化を着実に進めていくため、戦略的・計画的な土地利用誘導の推進、及び都市環境の変化に対応した土地利用規制の見直しの検討が必要です。 ここに画像があります。 横浜市の将来人口推計のグラフがが示されております。 出典は、横浜市中期4か年計画2018~2021です。 年齢3区分別人口のグラフが示されております。 出典は、横浜市中期4か年計画2018~2021です。 市政への要望の関するグラフが示されております。 出典は、横浜市民意識調査をもとに作成したものです。 (2)本地区の特性と課題 ア 本地区の特性 本地区はJR根岸駅の北側約1km、横浜市営地下鉄吉野町駅の南側約1km、横浜駅やみなとみらい21地区の南側約5kmに位置しており、大半が標高約50mの高台となっています。また、地区南側には国道357号、地区西側には国道16号、地区北側には鎌倉街道と国道16号、地区東側には横浜駅根岸線といった幹線道路が存在します。 本地区は、横浜らしい景観をつくり出している歴史的な建造物や多くの教育施設等が立地する山手地区に近接するとともに、緑豊かで多くの人々が集う根岸森林公園に隣接しています。また、本市のターミナル駅である横浜駅や、多彩な機能が集積する、みなとみらい21地区などの都心臨海部に近く、緑に囲まれた高台を有する約43haの広大な地区であり、その立地や周辺環境の状況から、ポテンシャルの高い地区と捉えることができます。 【本地区の現状】 地区における土地所有者別の構成は、国有地が約27ha、民有地が約16ha、市有地が約0.03haであり、民有地の権利者数は約180名となっています。 現在の主な都市計画は、概ね全域が低層住宅の良好な環境を維持する地域として、第一種低層住居専用地域に指定されているほか、緑豊かな居住環境の形成と都市の風致を維持するため、風致地区(第3種)に指定されています。 ここに画像があります。 本地区の周辺図が示されております。 画像の説明は終わりです。 ここに画像があります。 本地区の地形図が示されております。 画像の説明は終わりです。 ここに画像があります。 本地区の都市計画図(地域・地区図)が示されております。 画像の説明は終わりです。 イ 本地区の課題 (ア)交通 本地区は地区周辺の鉄道駅から1km程度あり、高低差が約50mあるため、公共交通の導入など、鉄道駅からのアクセスの確保が課題です。 また、本地区周辺には国道16号や横浜駅根岸線などの幹線道路が存在しますが、これらの幹線道路をつなぐ骨格となる道路の整備や、幹線道路との接続に係る交差点改良等をどのように計画していくかが課題です。 ここに画像があります。 根岸旭台交差点の写真があります。 画像の説明は終わりです。 (イ)防災 本地区周辺には建物が密集し、狭あいな道路や行き止 まり道路が存在しています。また、本地区のほとんどの 区域が広域避難場所に指定されていることから、返還後 においても広域避難場所としての機能や地区周辺から の避難路を確保することが課題です。 ここに画像があります。 狭あい道路のイメージの写真があります。 画像の説明は終わりです。 (ウ)都市基盤 本地区は細長い区域形状で国有地と民有地がモザイク状に分布しており、国による原状回復作業では、将来のまちづくりに不可欠な道路、公園、上下水道等のインフラ整備が実施されないため、返還後において個々に土地活用ができないことが課題です。 ここに画像があります。 本地区の土地所有分布図が示されております。 画像の説明は終わりです。 (エ)斜面地 本地区は大半が高台に位置し、地区西側の堀割川と並行して約1.2㎞の斜面が続いており、標高が約50mとなっています。また、斜面地の多くは傾斜30度前後ですが、最も急な箇所では60度程度、緩い箇所では20度程度となっており、これらの斜面地への対応を踏まえて、どのように土地利用を図っていくかが課題です。 ここに画像があります。 地区西側の斜面地の写真があります。 画像の説明は終わりです。 3 跡地利用検討の経緯 (1)米軍施設返還跡地利用指針:平成18(2006)年6月 本市の米軍返還施設の跡地利用に関する方針を定めた「米軍施設返還跡地利用指針」においては、全体テーマ「横浜から始める首都圏の環境再生」が掲げられ、それを受け、本地区においても施設別利用方針が設定されています。 《施設別利用方針:根岸住宅地区》 ~ヨコハマの歴史・文化を伝える庭園散策空間~ 横浜都心部に近接し、海の見える丘の芝生に囲まれた米国風住宅地という、独特の景観や雰囲気を持っています。こうした特色や隣接する根岸森林公園の環境を活用しながら、接収の歴史・文化を伝える憩いの空間の形成を目指します。 《跡地利用の方向》 ・特色ある現環境の活用 米軍住宅地となっている西側部分は、接収の歴史・文化を伝える空間として、現在の開放的な米国風住宅地の景観や雰囲気を可能な限り継承することを検討していきます。 ・根岸森林公園との一体利用 根岸森林公園や一等馬見所に隣接する東側部分は、これらと一体的に公園等として利用するとともに、公園の魅力を高めるための活用を図ることを目指します。 ・周辺市街地の都市機能改善への寄与 地区周辺の住宅市街地においては、建物が密集して狭あいな道路や行き止まり道路が存在し、防災性も低いため、これら周辺の都市機能の改善に寄与するよう、道路等の整備や広域避難場所の確保を図ることを目指します。 ここに画像があります。 根岸住宅地区の跡地利用概念図が示されております。 画像の説明は終わりです。 (2)まちづくり基本計画(協議会案):平成29(2017)年5月 本地区の跡地利用について、地権者組織である「米軍根岸住宅地区返還・まちづくり協議会」(以下、「ねぎまち協議会」という。)が長期間に渡り検討した成果をとりまとめたものです。経緯や計画概要は以下のとおりです。 年月 経緯等 平成22年(2010)3月 「米軍根岸住宅地区返還とまちづくりの会」(ねぎまち会)発足 平成24年(2012)3月 「米軍根岸住宅地区返還・まちづくり協議会」に移行 平成24年(2012)7月 横浜市地域まちづくり推進条例の規定に基づく地域まちづくり組織として認定 平成29年(2017)5月 まちづくり基本計画(協議会案)とりまとめ まちづくり基本計画(協議会案) 《まちづくりのテーマ》 多世代が息づき、緑と文化の風かおるまち 《まちづくりの方向性》 自然や緑が身近に感じられる、環境と共生するまち ・根岸住宅地区の魅力である「眺望」や「緑」を生かした公園を設け、緑の回遊空間を確保します。 ・自然エネルギーを積極的に活用していきます。 開放的で空間にゆとりの感じられる、質の高いまち ・景観に優れた質の高い、連続性のあるまちなみを形成します。 ・空間に広がりの感じられるゆとりあるまちを目指します。 高齢者をはじめ、いろいろな世代の人が住めるまち ・敷地の規模や建物の種類(戸建住宅・低層マンションなど)を工夫し、いろいろな世代の方が住めるまちを目指します。 ・ミニバスなどによる交通利便性の向上や生活利便施設の配置により、子供から高齢者まで日常生活を送りやすい環境を整えます。 安全・安心なまち ・道路や公園等のバリアフリー化、セキュリティの向上、通過交通を減らす工夫、防災機能などにより、誰もが安心して住めるまちを目指します。 コミュニティのつながりが感じられるまち ・いろいろな世代がコミュニケーションを図りながら健康に暮らせるまちを目指します。 ・住民の安全・安心やまちなみの維持につなげるため、行政区の垣根を越えた一体的なコミュニティを形成します。 《土地利用図》 ここに画像があります。 本地区の土地利用図が示されております。 画像の説明は終わりです。 ※まちづくり基本計画(協議会案)の位置づけ 1.ねぎまち協議会が平成22年から検討してきた成果として取りまとめた案です。 2.今後、この案を基に国等関係機関との協議をより具体的に進めていきます。 3.この案を更に魅力あるものにするよう様々な可能性を検討していきます。 4 上位計画・関連計画 本基本計画では、「米軍施設返還跡地利用指針」の検討内容を踏まえ、次頁以降に示す本市の上位計画や 関連計画との整合を図り、跡地利用の基本方針を定めるものです。なお、上位計画や関連計画と本基本計 画との関係性を下記に示します。 また、本基本計画は10~15年先を見据えたものであり、引き続き、国の政策と連携し、新たな技術や取 組等を積極的に取り入れていくことで、社会・経済情勢の変化に対応していきます。 ここに画像があります。 上位計画・関連計画と跡地利用基本計画の関連性が示されております。 画像の説明は終わりです。 (1)上位計画 ア 横浜市基本構想(長期ビジョン):平成18(2006)年6月 市政運営の基本理念である「横浜市基本構想(長期ビジョン)」では横浜市の都市像が掲げられ、都市像を支える5つの柱が示されています。 《都市像》 市民力と創造力により新しい「横浜らしさ」を生み出す都市 (市民力 ⇒ 市民の活力と知恵の結集 創造力 ⇒ 地域の魅力と創造性の発揮) 《都市像を支える5つの柱》 世界の知が集まる交流拠点都市 新たな活躍の場を開拓する活力創造都市 多様な働き方や暮らしができる生活快適都市 市民の知恵がつくる環境行動都市 いつまでも安心して暮らせる安全安心都市 イ 横浜市中期4か年計画2018~2021:平成30(2018)年10 月 「横浜市中期4か年計画2018~2021」では2030年を展望した中長期的な6つの戦略が掲げられ、計画期間の4か年に重点的に推進すべき38の政策が示されています。 ここに画像があります。 中期4か年計画の構成が示されております。 画像の説明は終わりです。 また、「横浜市中期4か年計画2018~2021」において、特に米軍施設の跡地利用の記載が含まれる戦略・政策は以下のとおりです。 戦略4(2) 『人が、企業が集い躍動するまちづくり』 ~誰もが「住みたい」「住み続けたい」と思える郊外部~ 戦略的な土地利用誘導・まちづくりの推進 ・米軍施設の跡地利用の推進 市内に残された貴重な資産である米軍施設跡地では、広大な土地や立地特性等をいかし、地域や市域の活性化、広域的課題の解決に向けた土地利用を進めます。 旧上瀬谷通信施設では、国際園芸博覧会の招致と連携し、農業振興や新たな都市的土地利用を図るとともに、新たな交通の整備など、総合的なまちづくりを進めます。また、旧深谷通信所では、緑豊かな環境をいかしながら、健康・スポーツの拠点形成を目指していくとともに、根岸住宅地区等の跡地活用の検討を進めます。 戦略の方向性 駅周辺の生活拠点機能の強化や住宅地の活性化・魅力向上、それらをつなぐ身近な交通ネットワーク等の維持・充実により、若い世代をはじめ多世代に選ばれるまちづくりを推進します。また、米軍施設の跡地利用など、地域や市域の活性化、広域的課題の解決に資する戦略的な土地利用誘導によるまちづくりを推進します。 ここに画像があります。 郊外部活性化のまちづくりが示されております。 画像の説明は終わりです。 政策21 コンパクトで活力のある郊外部のまちづくり 政策の目標・方向性 駅やインターチェンジの周辺、米軍施設跡地等の都市的土地利用が見込まれる地域では、緑や農地の保全とのバランスや周辺環境との調和を図りながら、戦略的な土地利用を推進します。また、都市環境の変化を踏まえた土地利用規制の見直しの検討を進めます。 現状と課題 神奈川東部方面線・横浜環状道路等の整備や、米軍施設跡地の活用等の機会をいかし、地域や市域の活性化、広域的課題の解決など戦略性を持った土地利用誘導が必要です。 主な施策(事業)5 米軍施設の跡地利用の推進 旧深谷通信所、旧上瀬谷通信施設など市内米軍施設跡地について、地権者等と連携しながら、アクセス道路など周辺の都市基盤整備等も含め跡地利用を推進します。 ウ 横浜市都市計画マスタープラン (ア)横浜市都市計画マスタープラン全体構想︓平成25(2013)年3月 本市の都市計画に関する長期的な基本的方針である横浜市都市計画マスタープランのうち、全体構想では、都市づくりの課題に対応するための7つの目標が設定されています。 《7つの都市づくりの目標》 超高齢社会や将来の人口減少社会に対応できる「集約型都市構造」への転換と、人にやさしい「鉄道駅を中心としたコンパクトな市街地」の形成 地球温暖化やヒートアイランド現象の緩和に向けた、エネルギー効率のよい低炭素型の都市づくり 首都圏全体の発展をけん引するとともに、国際競争力を高めるための基盤づくり 地域特性に応じた、計画的・効率的な土地利用と地域まちづくり 誰もが移動しやすく環境にやさしい交通の実現 横浜らしい水・緑環境の実現と、都市の魅力を生かしたまちづくり 震災や風水害などの自然災害に強い、安全安心のまちづくり ここに画像があります。 都市構造図が示されております。 画像の説明は終わりです。 (イ)都市計画マスタープラン中区プラン:令和2(2020)年3月 「横浜市都市計画マスタープラン中区プラン」において本地区に関するまちづくり方針は、以下の事項が示されています。 《本牧・根岸エリアのまちづくり》 【目標】 安心して暮らすことができ、また利便性の高い居住環境のあるまち 【方針】 安全・安心な生活環境の維持・向上 ・新たな土地利用や施設の再編整備に際しては、地域の活性化に資するまちづ くりを誘導します。 魅力的な歴史・文化資源の保全・活用 ・歴史・文化資源である三渓園の整備・保全を行うとともに、テニスコートや運動広場のある本牧市民公園、自然環境が豊かな本牧山頂公園・根岸森林公園・本牧臨海公園などを緑の拠点として保全し、景観の保全を図ります。 交通利便性の向上 ・斜面の多い地形で、徒歩圏に鉄道駅がない住宅地もあることから、バス事業者と連携し、既存バス路線の維持・改善に努め、エリア内で行われている民間送迎バスとの連携を進めます。また、地域の実情を踏まえて、生活に密着した交通手段の導入に向けた取組を支援する地域交通サポート事業の活用など、様々な目的の方が乗りあって移動できる公共交通サービスの実現を区民、事業者、行政などが協働で目指します。 米軍根岸住宅地区の跡地利用の検討 ・米軍根岸住宅地区は、「米軍施設返還跡地利用指針」及び「横浜市米軍施設返還跡地利用行動計画」等を踏まえ、土地所有者等と必要な機能の導入を含め、跡地利用の検討を進めます。 ここに画像があります。 本牧・根岸エリアまちづくり方針図が示されております。 画像の説明は終わりです。 (ウ)都市計画マスタープラン南区プラン:平成31(2019)年2月 「横浜市都市計画マスタープラン南区プラン」において本地区に関するまちづくり方針は、以下の 事項が示されています。 《まちづくりの方針》 【土地利用の方針】 多世代が暮らしやすく、安全で快適な住環境をつくっていきます。 南区のにぎわいや活力形成につながる良好な商業、業務、工業等の環境を維持し、地域のニーズや立地環境に合わせた適正な土地利用を誘導していきます。 土地利用転換等が行われる際には、周辺環境へ配慮した計画を誘導します。 【大規模施設地区等】 ・米軍根岸住宅地区は、「米軍施設返還跡地利用指針」及び「横浜市米軍施設返還跡地利用行動計画」等を踏まえ、土地所有者等と必要な機能の導入を含め、跡地利用の検討を進めていきます。 ここに画像があります。 土地利用の方針図が示されております。 画像の説明は終わりです。 (エ)都市計画マスタープラン磯子区プラン:平成30(2018)年3月 「横浜市都市計画マスタープラン磯子区プラン」において本地区に関するまちづくり方針は、以下の事項が示されています。 《根岸地区のまちづくり方針》 【目標】 水と緑と歴史を生かした魅力あふれるまち 【方針】 根岸駅前の都市機能強化を図るとともに、地区の特色を生かした魅力あふれる空間を形成します ・米軍根岸住宅地区は、平成18(2006)年にまとめられた「米軍施設返還跡地利用指針」を踏まえ、土地所有者等と米軍根岸住宅地区の周辺環境に配慮した跡地利用を検討します。 水・緑・景観・歴史を生かした魅力あるまちを形成します ・景観的な特徴である連続的な斜面緑地、ふもとの神社・仏閣等の歴史資源は、磯子区に残された貴重な財産として、地域や所有者等の協力を得ながら、保全・継承していきます。 津波浸水と高潮対策を含め、災害に強いまちづくりを進めます ・急傾斜地崩壊危険区域における崩壊防止工事や新たな区域指定など、県と連携したがけ崩れ対策を進めます。 ・土砂災害警戒区域では、警戒避難体制の整備を図ります。 ここに画像があります。 根岸地区まちづくり方針図が示されております。 画像の説明は終わりです。 エ 都市計画区域の整備、開発及び保全の方針:平成30(2018)年3月 本市の目指すべき都市の将来像を示す「都市計画区域の整備、開発及び保全の方針」では、以下の基本理念が掲げられています。 《都市づくりの基本理念》 ~新しい横浜らしさの創造と持続を支える都市づくり~ 超高齢社会や将来の人口減少社会の到来を見据え、環境に配慮した持続可能な都市の構築 港、水・緑、歴史、文化など、横浜の持つ資産や環境を生かしたまちづくり 市民生活の利便と安全安心を支えるとともに、国際競争力の強化を図るための基盤づくり 《市街地開発事業に関する主要な都市計画の決定の方針》 人口動態や産業構造等の変化に対応した持続可能な都市を構築するために、市民生活の利便性向上や国際競争力強化のための拠点整備、魅力ある市街地環境の創造に向けた土地利用を推進する。そのため、都心部、臨海部、またこれらの周辺部や郊外部における鉄道駅周辺、駅から離れた住宅団地、工業地、木造密集市街地等において、それぞれの地域特性に応じた計画的な市街地開発事業を進める。 オ 都市再開発方針等 (ア)都市再開発の方針:平成30(2018)年3月 《基本方針》 横浜型のコンパクトな市街地の形成 産業の活性化や国際競争力の強化、市民生活の利便性向上をはかるため、鉄道駅や高速道路インターチェンジ周辺等の都市基盤施設の整備効果を最大限に生かした土地利用、米軍施設跡地や内陸部の工業地などで大規模な土地利用転換があった場合の適切な対応、地域特性を踏まえた望ましい土地利用の誘導など、戦略的・計画的な土地利用を周辺環境との調和を図りながら進める。 (イ)住宅市街地の開発整備の方針:平成30(2018)年3月 《良好な住宅市街地の整備又は開発の方針》 都心・臨海周辺部及び郊外部の住宅地 計画的に開発された住宅地では、建築協定や景観協定、地区計画等の制度を活用し、良好な住環境の維持・保全を図る。また、緑豊かな自然環境を生かし、環境と共生した魅力ある住宅市街地づくりを推進するとともに、生活支援機能の充実や、拠点駅との交通の確保に努める。 (2)関連計画 ア 横浜市水と緑の基本計画:平成28(2016)年6月 本市の水・緑環境を保全し創造するための総合的な計画である「横浜市水と緑の基本計画」では、以下の目標像が示されています。 《目標像》 多様なライフスタイルを実現できる水・緑豊かな都市環境 また、「横浜市水と緑の基本計画」における本地区に関連する記述は以下のとおりです。 《水・緑環境の保全と創造の推進計画》 流域ごとの水・緑環境をつくり・高めます ・流域ごとの推進計画(⑧ 直接海にそそぐ小流域の集まり) 【流域の取組方針】 流域全体 量 源・上流域については緑の保全を中心に、中流、下流域は、旧海岸線の斜面緑地の保全や水と緑の回廊形成を進める。 質 緑地の担保率向上による質の維持と合わせて、横浜らしい斜面緑地の保全を進めるとともに、生物多様性に配慮した、水・緑環境を創造する。 魅力 源・上流域のまとまった緑や旧海岸線の斜面緑地など、横浜らしい景観を保全するとともに、海辺を最大限に活用した魅力アップを図る。 中流域 量 まとまりのある緑地や旧海岸線の斜面緑地を保全するとともに、街路樹や道路沿いの緑化を進める。 質 旧海岸線の斜面緑地の保全を図る。また、歴史ある街並みの保全に向けて、風致地区の保全施策を進める。 魅力 身近な公園整備や歴史ある水と緑の空間を保全するとともに、海に近いという地域特性をいかした魅力づくりを進める。 ここに画像があります。 水と緑の回廊像が示されております。 画像の説明は終わりです。 拠点となる水と緑、特徴ある水と緑をまもり・つくり・育てます ・海をのぞむ丘の軸の水と緑をまもり、海と人とのふれあい拠点をつくり・育てます 旧海岸線沿いに連なる台地や丘陵地の緑の軸を「海をのぞむ丘の軸」と位置付け、横浜独特の崖地形、眺望とともに、海側からのぞむことができる斜面緑地を保全するほか、軸内の樹林地や農地の保全や水・緑環境の整備、民有地の緑化を進めます。保全した斜面緑地は、景観に配慮しながら安全性の向上を図ります。 ここに画像があります。 海をのぞむ丘の軸・海と人とのふれあい拠点位置図が示されております。 画像の説明は終わりです。 イ 横浜市防災計画(資料編2020):令和2(2020)年4月 「横浜市防災計画」において、地震による延焼火災の輻射熱や煙から市民の生命・身体を守るために一時的に避難する場所として根岸森林公園及び根岸住宅地区は広域避難場所に指定されており、規模、割り当て地区等は以下のとおりです。 ・総面積 :625,007 ㎡ ・収容定員 :504,605 人 ・要避難人口 :70,834 人 ・収容率 :14.0% ・割り当て地区:中区 大芝台、大平町、柏葉、鷺山、滝之上、竹之丸、立野、塚越、寺久保、仲尾台、西竹之丸、根岸旭台、根岸台、豆口台、簑沢、麦田町1~4丁目、山手町の一部、大和町1、2丁目、山元町1~5丁目南区 浦舟町1~5丁目、永楽町1、2丁目、唐沢、山谷、白妙町1~5丁目、高根町1~4丁目、中村町1~5丁目、八幡町、平楽、堀ノ内町1、2丁目の各一部、真金町1、2丁目、万世町1、2丁目、睦町1、2丁目磯子区 鳳町、上町、坂下町、下町、西町、馬場町、原町、東町 ウ 横浜市SDGs未来都市計画:平成30(2018)年10 月 「横浜市SDGs未来都市計画」では、SDGsの達成年次である2030年を見据え、「環境を軸に経済や文化・芸術による新たな価値・賑わいを創出し続ける都市」の実現に向け、様々な取組を進めています。「横浜市中期4カ年計画2018-2021」及び「横浜市地球温暖化対策実行計画」の政策・施策の中から環境・経済・社会の統合的解決を目指す6つの取組が以下のように示されています。 環境面 豊かな自然環境と暮らしが共存する都市 脱炭素・循環型社会構築 経済面 成長と活力を生み出す都心部 国際競争力の強化と市民生活を豊かにする総合港湾 社会面 「住みたい」「住み続けたい」と思える郊外部 未来を作る多様な人づくり エ 成長分野育成ビジョン:平成26(2014)年3月 「成長分野育成ビジョン」では、産業拠点戦略として京浜臨海部エリア、都心臨海部エリア、金沢産業団地周辺エリアが位置づけられています。また、米軍施設返還跡地についても、今後の動向も踏まえ、検討していくエリアとして位置づけられています。 第2章 跡地利用の考え方 1 まちづくりの全体像 本地区の跡地利用は、ねぎまち協議会にて長期間に渡って議論され、平成29(2017)年5月に「まちづくり基本計画(協議会案)」としてとりまとめられました。同案では、まちづくりのテーマ「多世代が息づき、緑と文化の風かおるまち」と併せて、5つのまちづくりの方向性や土地利用図が示され、「この案を更に魅力あるものにするよう様々な可能性を検討」すると位置づけられました。 協議会案を受け、本市としても跡地利用の可能性を再確認する必要があったこと、平成30(2018)年11月の返還方針の見直しによる返還に向けた動きもあったことから、「本市及び本地区が抱える課題や可能性」を整理し、本基本計画にて新たなまちづくりの方向性を付加することとしました。 具体的には、まずは「周辺環境と調和し、良好な景観を形成する質の高い住宅地」を掲げ、協議会案でも触れられていますが、市としても緑に囲まれた高台という特性を生かし、ゆとりある質の高い住宅地の形成を目指します。 次に、協議会案を尊重しつつ、民間企業等の意見やノウハウを取り入れながら、計画を補完する要素として「広域的な要請に応える公共・公益施設の誘致」を掲げ、都心部周辺の広大な土地や立地等を生かした地域・市内の活性化や広域的な都市課題の解決を図るとともに、「山手地区などの周辺地区と連携した文教地区」を掲げ、教育・研究機能の立地や、文教地区としてのまちの賑わいの創出に向けて検討を進めていきます。 ここに画像があります。 本地区の全体像を示した画像が示されております。 画像の説明は終わりです。 2 まちづくりのテーマとコンセプト 「まちづくり基本計画(協議会案)」におけるまちづくりのテーマを基調としながら、新たなまちづくりの方向性を付加し、まちづくりのコンセプトとしています。 まちづくりのテーマ 多世代が息づき、緑と文化の風かおるまち ここに画像があります。 まちづくりのコンセプトを示した画像が示されております。 画像の説明は終わりです。 ここに画像があります。 周辺地区との連携イメージ図が示されております。 画像の説明は終わりです。 【参考】企業等ヒアリング結果 本地区における将来の市場性などを捉えながら、導入施設や機能等を検討するため、平成30(2018)年度に「建設・不動産業界」「住宅業界」「スーパー・小売業界」「学校教育業界」「自動車業界」「観光業界」に対し、進出条件や意向等を中心にヒアリング調査を実施しました。 市場性に係るヒアリング調査結果の主なものとしては、以下のようなご意見がありました。 住宅 「マンションよりも戸建てのイメージであるが、個性を出さなければ難しい」「高級住宅街にするメリットや魅力づくりを行うことで高級住宅街として成立」「農地利用には個性があり、横浜駅から近く、地産地消が体験できる街など、“田舎に帰らなくても農業ができるまち”も良い」 商業 「日常スーパーを中心に、近隣商圏を狙って取り組む考えは検討可能」 教育研究 「業務・居住人口の集積がある市の中心部に近い場所に大規模開発が可能なまとまった土地があることは大きなプラス要因」「都心部や横浜港に近く、研究所などを集めやすい地域だと考える」 その他 「広大なまとまった土地を一から使えることはニーズが合えばメリットがあり、ゆとりある建物利用が可能」 3 分野別方針 まちづくりのテーマや、まちづくりのコンセプトを踏まえて、教育・研究、景観・環境、道路・交通、防災・減災といった分野ごとに考え方をまとめています。 (1) 教育・研究 ア 山手地区などの周辺地区と連携した文教地区 本地区は本市を代表する文教地区として教育施設が多く立地する山手地区に近接しており、小・中学校や高等学校等についても、本地区周辺には多数立地しています。また、本地区は研究開発拠点である京浜臨海部エリアと金沢臨海部産業団地エリアの中間点にも位置しています。 教育・研究機能に係る近年の動向として、大学キャンパスの立地が都心回帰の傾向にあることや、中高一貫校の大学附属化や共学化が進んでいることにより、新キャンパスへの再編の動きが見られます。また、次の時代をけん引する成長分野の研究開発に係る産学連携も進んでおり、引き続きこれらの動向に注視することが重要と考えます。 その一方、本地区の跡地利用については、都心臨海部の周辺に位置しながら大規模な土地が確保できる貴重な機会と捉えることができます。 本地区への教育・研究機能が立地するメリットとしては、学生・研究者等と地区住民との交流のほか、近接する山手地区との連携を通じて、地域全体の活性化やブランド力の向上などの相乗効果も期待できます。このため、山手地区などの周辺地区と連携した文教地区を目指します。 ここに画像があります。 文教地区のイメージ写真です。 画像の説明は終わりです。 【近年の県内の大学・中高一貫校の再編等】 ※各大学・学校のホームページ資料をもとに作成 平成25(2013)年4月 中央大学附属横浜中学校・高等学校 (大学附属化・共学化・移転:中区→都筑区) 平成27(2015)年4月 湘南医療大学(新設:戸塚区) 令和3(2021)年4月予定 神奈川大学(学部移転:平塚市→西区) 令和4(2022)年4月予定 関東学院大学(学部移転:金沢区→中区) ここに画像があります。 根岸住宅地区と研究開発拠点の位置関係の図です。 画像の説明は終わりです。 ここに画像があります。 根岸住宅地区周辺の文教施設等の立地状況の図です。 画像の説明は終わりです。 (2) 景観・環境 ア ゆとりある質の高い住宅地の整備 本地区の大半は緑に囲まれた高台に位置していることから、開放的で眺望に優れています。また、本地区周辺には良好な街並みを形成する山手地区や、多くの人々でにぎわう緑豊かな根岸森林公園があります。これらの特性を生かし、周辺環境と調和した魅力的なゆとりある質の高い住宅地の整備を目指します。 また、将来にわたって良好なコミュニティを形成していくため、建物敷地や住宅の規模等を街区レベルで区分して配置することなどにより、子育て世帯や高齢者世帯など、いろいろな世代の方々が住みやすい住宅地となるよう配慮していきます。 更に、日常生活を送りやすい環境を整えるため生活利便施設や公共・公益施設を適正に配置するほか、地区全体で環境負荷を軽減するエネルギーマネジメントシステムの導入などの先導的な取組についても検討します。 ここに画像があります。 質の高い低層住宅地のイメージ写真です。 画像の説明は終わりです。 ここに画像があります。 生活しやすい住環境のイメージ写真です。 画像の説明は終わりです。 イ 地区の魅力を生かした緑の回遊空間の形成 本地区は大半が標高約50mの高台に位置し、米軍住宅地の芝生の庭が広がり、西側には地区内外にわたって斜面緑地が連なっています。このため、本地区は都心臨海部の周辺にありながら富士山をのぞむことができるなど、開放的で眺望が良いという特色があります。また、本地区の南東側に隣接する根岸森林公園には、市民の憩いの場となる森に囲まれた広大な芝生広場などが整備されており、春には桜の名所として多くの市民が訪れています。 本地区の跡地利用にあたっては、良好な住環境などを創出するため、周辺の緑豊かな環境などを生かしながら、緑を身近に感じ、心地良く、癒しや安らぎを感じることができるような空間を目指していきます。主に公園、道路及び公共・公益施設等では、積極的な緑化を図るとともに、地区全体で連携した緑の回遊空間の形成を図っていきます。 なお、公園については、緑に親しむなど誰もが快適に過ごせる環境や、子供の遊び場の確保を目指すとともに、地区内外の市街地の防災性向上にも寄与できるよう配慮していきます。また、根岸森林公園に隣接する部分については、根岸森林公園を拡張し一体利用することで、公園の更なる魅力向上や 広域避難場所の機能継続を図っていきます。 ここに画像があります。 根岸住宅地区の西側に広がる斜面緑地と南東側に隣接する根岸森林公園の航空写真です。 画像の説明は終わりです。 ここに画像があります。 富士山を臨む根岸住宅地区からの眺望の写真です。 画像の説明は終わりです。 ここに画像があります。 積極的な緑化のイメージ写真です。 画像の説明は終わりです。 ここに画像があります。 子供の遊び場のイメージ写真です。 画像の説明は終わりです。 根岸森林公園 本地区に隣接する根岸森林公園は、中区根岸台の丘の上に広がる約19haの雄大な公園です。 なだらかな自然の丘陵を生かした気持ちよい芝生広場のほか、それを囲むように包む深緑の森や日本初の洋式競馬場跡地として名高く、横浜を代表する名所のひとつです。 ここに画像があります。 根岸森林公園の芝生広場の写真です。 画像の説明は終わりです。 ここに画像があります。 根岸森林公園のふれあい広場の写真です。 画像の説明は終わりです。 ここに画像があります。 根岸森林公園の園内マップです。出典は根岸森林公園のパンフレットデータをもとに作成したものです。 画像の説明は終わりです。 ウ 米国風住宅地の景観等の継承 本地区の米軍住宅は385戸が現存しており、昭和22(1947)年の接収から平成27(2015)年の居住者の退去まで約70年間利用されてきました。住宅の周りには開放的な芝生の庭が広がるほか、道路沿いの駐車スペースや路線名を示す英語の標識、黄色い消火栓などが随所にあり、独特な景観を形成しています。また、平成27(2015)年まではフレンドシップデーなどの米軍施設を開放するイベントが開催され、地域住民がアメリカの雰囲気を楽しむ機会もありました。そのため、こうした接収の歴史や文化を伝える空間として、米国風住宅地の景観や雰囲気の継承を目指していきます。 ここに画像があります。 根岸住宅地区内にある消火栓と標識の写真です。 画像の説明は終わりです。 ここに画像があります。 過去に開催されたフレンドシップデーの写真です。 画像の説明は終わりです。 かつて米軍住宅が存在した他地区の活用例では、モニュメントとして保存しているもののほか、保存したものを一部改修、又は保存ではなく元の建物を参考としながら新たに建築したものを住宅や店舗等として活用しているものがあり、各地区の経緯や周辺環境などの特性に応じた様々な方法で継承されています。 本地区の米軍住宅は築70年を超える木造住宅であり、老朽化が進んでいることから、元の建物を参考にするなど米国風住宅地の景観や雰囲気の継承を目指します。また、長期に渡り愛着を持って親しんでもらえるよう、例えば集会所などの地域住民が利用する施設や、民間事業者等が経営する生活利便施設とするなど、活用方法については時期を見据えて幅広く検討していきます。 【米軍住宅の活用例】 ここに画像があります。 東京都渋谷区にあるワシントンハイツの写真です。 画像の説明は終わりです。 米軍宿舎からオリンピック宿舎となったものをモニュメントとして保存 ここに画像があります。 東京都福生市にあるアメリカンハウスの写真です。 画像の説明は終わりです。 米軍ハウスを一部改修し、内装も当時の雰囲気を再現した上で、店舗等として活用 ここに画像があります。 埼玉県入間市にあるジョンソンタウンの写真です。 画像の説明は終わりです。 米軍ハウスの雰囲気を継承しつつ、現代的な建築基準で新築し、住宅等として活用 (3) 道路・交通 ア 様々な機能に対応する道路の整備 本地区内の⾻格を形成する主要な道路の整備にあたっては、周辺市街地における既存道路の現況も考慮しながら、周辺地域を含めた道路ネットワークを構築し、本地区へのアクセス性を向上させるため、本地区内の新たなまちづくりにより発⽣する交通量と本地区周辺の幹線道路や交差点に与える影響を予測し、必要に応じて交差点改良等の対応を⾏うことで、円滑な交通処理を図っていきます。こ のほか、住宅地などの⼟地利⽤の特性に応じ、⾃動⾞、⾃転⾞、歩⾏者それぞれについて、安全かつ円滑で快適に通⾏できるよう、歩道・⾞道の幅員や⾞線数を確保していきます。 また、主要な道路の整備と併せて無電柱化を積極的に推進するとともに、街路樹や植樹帯等を整備し公園や斜⾯緑地とつながる緑の回遊空間を形成するなど、景観や環境等に配慮した道路空間の創出を図っていきます。 さらに、本地区のほとんどの区域は広域避難場所に指定されていることから、防災性の向上を図るため、⼤規模災害時に誰もが安⼼して広域避難場所へ避難できるよう、周辺市街地の既存道路と接続する避難路ともなる⽣活道路等の整備を⾏います。 ここに画像があります。 主要な道路のイメージ写真です。 画像の説明は終わりです。 ここに画像があります。 ⽣活道路のイメージ写真です。 画像の説明は終わりです。 イ 公共交通によるアクセス向上 本地区は鉄道駅から約1kmに位置しているものの高低差約50mの高台にあること、また周辺市街地の状況等を踏まえると、新たな軌道等による公共交通機関の整備よりもバス交通を基本として、本地区周辺の鉄道駅からのアクセス性の向上を図ります。 バスの路線については、本地区周辺の既存バス路線の延伸や新規バス路線の開設等の再編をバス事業者へ働きかけるとともに、本地区内に主要な道路やバス発着所等を整備するほか、根岸旭台交差点の改良など、バスの走行環境を確保できるよう検討を進めていきます。 また、地区内の交通手段として、環境負荷の低減や、文教施設、公共・公益施設、住宅等の土地利用を踏まえ、パーソナルモビリティや自動運転といった交通環境の変革について、実施時期を見据えながら対応を検討していきます。 ここに画像があります。 根岸住宅地区周辺に存在する既存バス路線の図です。 画像の説明は終わりです。 (4) 防災・減災 ア 広域避難場所の継続、避難路の確保 (ア)広域避難場所としての機能の継続 根岸森林公園及び本地区のほとんどの区域が、現在、横浜市防災計画において「根岸森林公園及び根岸住宅地区」として広域避難場所に指定されており、大地震により発生した火災が多発し延焼拡大した場合、その輻射熱や煙から市民の生命・身体を守るために避難する場所となります。 引き続き、本地区の広大な土地という地勢を生かして防災・減災の取組を進めていくため、広域避難場所としての機能が継続できるよう土地利用を図っていきます。 ここに画像があります。 広域避難場所「根岸森林公園及び根岸住宅地区」と地区割り当ての図です。出典は、横浜市総務局危機管理室のデータをもとに作成したものです。 画像の説明は終わりです。 (イ)避難路の確保 本地区周辺の東側及び西側には、狭あい道路の沿道に建物が密集する地区が存在し、大規模な火災による延焼被害が懸念されます。このため、災害時に誰もが安全かつ迅速に避難できるよう、地区外の既存道路から地区内の道路へつなぐなど、避難路を確保します。 ここに画像があります。 災害時における避難イメージの図です。 画像の説明は終わりです。 イ 斜面地への対応 (ア)斜面地の概要 本地区は、都心臨海部の南方に広がる本牧台地と呼ばれる標高約50mの台地の西部に位置しており、地区の西側には北西-南東方向に長さ1.2kmにわたって斜面地が存在しています。また、斜面地の西方を流れる堀割川の川岸からの高低差は40mから50mです。斜面の勾配については、20~60度程度で、特に本地区北西部では比較的急傾斜となっています。 堀割川は明治初期につくられた人工河川であり、本牧台地の北西縁の稲荷山と西側の堀ノ内が、元々は尾根で繋がっていたのを掘削し、根岸湾に至る運河を通すという工事によって造られました。そのため、比較的急傾斜の斜面地が連続している本地区北西部の斜面地は、堀割川掘削時に削られたり、その後の土砂採取などで削られたりした地形が残っている可能性も考えられます。 この本地区北西部の斜面地では、平成11年に大規模な崩落事故が発生し、斜面地の下側に立地するマンションなどに大きな被害を与えました。現在は国によって、コンクリートによる法面保護対策が実施され、維持管理されています。 ここに画像があります。 根岸住宅地区周辺における斜面地の位置図です。 画像の説明は終わりです。 (イ)斜面地の現況 ①地区境界の位置 本地区の境界と斜面地の位置関係については、右記の「図 斜面地と地区境界との位置関係」に示すように3つのケースがあります。 ケースaは地区境界が斜面地より上方にあり斜面地全体が地区に含まれないケースです。 ケースbは地区境界が斜面地内にあり地区に斜面上部の一部が含まれるケースです。 ケースcは地区境界が斜面地の下方にあり地区に斜面地全体が含まれるケースです。 本地区の大部分はケースa及びケースbで、斜面地は概ね地区外となっていますが、斜面地の下方に米軍施設があるところではケースcのように斜面地が地区内に含まれる箇所もみられます。また、地区外にある斜面地は、概ね民有地となっています。 ここに画像があります。 斜面地と地区境界との位置関係の図です。 画像の説明は終わりです。 ②斜面地の地形地質 斜面地を構成する地質は、泥岩層を基盤として、上位にはローム層が分布しています。斜面地の標高が50m前後であるのに対し、標高35m付近に泥岩層とローム層の境界があることから、斜面地の上部15m程度はロームを主体とする地層からなっており、それより下部については強固な地層である泥岩層が厚く分布していることが分かります。さらに、自然斜面の表層部には過去に流れたと推測される土砂が数mの厚さで斜面に沿って堆積しています。 ここに画像があります。 斜面地の地層模式図です。 画像の説明は終わりです。 (ウ)斜面地の条件に応じた類型化 傾斜が急なところでは、表層付近の堆積土やローム層の一部が崩れたり、泥岩層において表面が露出している場合に、長期的な風化によって一部が崩れたりすることが懸念されます。これに対して、県が急傾斜地崩壊危険区域の指定を行ったところについては、既に斜面下側へ擁壁の設置等が行われ、一定の対策が実施されてきました。 また、平成11(1999)年の斜面地の北西部で発生した崩壊についても、当時の横浜防衛施設局により法面対策が実施されました。 この他、多くの場所で土砂災害防止法による土砂災害警戒区域の指定がなされており、警戒避難体制の整備が進められています。 このように本地区西側の斜面地については、それぞれの場所で対策状況や法指定の状況が異なります。そのため、斜面地を13の区域に分け、それぞれの区域を対策状況などの条件によって以下のように類型化し、それぞれのパターンに応じた対応の方向性を検討しました。なお、それぞれの区域の類型化は、既存資料を基に行っているため、実際の対応時には、予め現地調査等を行い、斜面状況を精査した上で適切なパターンにより対応します。 パターンⅠ 地区境界が斜面地より上にあり、一定の対策工が行われている箇所 B、F、I パターンⅠ‘ 地区境界が斜面地より上にあり、現在、対策工が実施されていない箇所 G、M パターンⅡ 地区境界が斜面地内にあり、一定の対策工が行われている箇所 C、H、J、K、L パターンⅢ 地区内に斜面が含まれており、全面対策工が行われているところ A、D、E ここに画像があります。 各区域の地区境界位置、法令の指定状況、対策施設の整備状況を表した表です。 表中の法令の指定状況、対策施設の整備状況については各区域の主な部分を基に記載しています。 画像の説明は終わりです。 ここに画像があります。 斜面地区分と急傾斜地崩壊危険区域の図です。 画像の説明は終わりです。 ここに画像があります。 斜面地区分と土砂災害警戒区域の図です。 画像の説明は終わりです。 (エ)対応の方向性 本地区のまちづくりを進めるにあたっては、類型化したパターンごとに以下の方針に従って対応していきます。 ①パターンⅠ及びⅠ´の対応方針 パターンⅠ及びⅠʼにおいては、境界が斜面上部のため、地区外の斜面地に負荷をかけないよう雨水排水を適切に確保し、地区内の雨水を斜面地側に表流水として流出することをできる限り防止します。 斜面地近傍の宅地においては、関係法令等を遵守し適切な造成を行い、土砂災害の防止に努めます。 土地利用においても、斜面下端から斜面の高さ(H)の2倍の範囲(2×H)内は建築行為を避けるなど、土質に応じて横浜市建築基準条例を遵守し、土地利用を行います(以下【横浜市建築基準条例】参照)。 また、地区外の斜面地について、パターンⅠにおいては引き続き、土地所有者による管理を基本とし、斜面の多くが急傾斜地崩壊危険区域や土砂災害(特別)警戒区域に指定されていることから、急傾斜地法による急傾斜地崩壊対策工事での対応や土砂災害防止法に基づく対応を継続していきます。 パターンⅠʼにおいては、これまで構造物による対策工が実施されず、自然斜面のままであることから、必要に応じて、土地所有者に対して斜面地の管理に必要となる情報の提供を行うとともに、土砂災害(特別)警戒区域に指定されているため、土砂災害防止法に基づく対応も継続していきます。 【横浜市建築基準条例】 地区内の土地利用にあたっては、崖に近接して建築物を建てる場合、崖の下端から崖の高さの2倍以上の離隔をとる必要があり、この考え方に基づいて土地利用を行います。ただし、本条例には以下に示す除外事項がありますので、これを適用する場合は個々の斜面で検討を行います。 ◇除外事項例  崖(斜面地)の勾配が土質によって決められた斜面勾配よりも緩く、崖崩れのおそれがない場合  崖(斜面地)の上に建築物を建築する場合で、建築物の基礎の応力が崖(斜面地)に影響を及ぼさないとき(右図)  土質試験に基づき地盤の安定計算をした結果、崖(斜面地)の安全性が認められたとき。 ここに画像があります。 崖に近接して建築物を建てる場合のイメージ図です。 画像の説明は終わりです。 ②パターンⅡの対応方針 パターンⅡにおいては、パターンⅠと同様の方針としますが、斜面地の一部が地区内に含まれるため、地区内の斜面地については必要に応じて、以下の例に示すような切土工による斜面の整形や、堆積土の流出防止工などを検討し、地区内の土砂に起因する土砂災害の防止に努めます。 なお、切土する場合では、地山の観察を十分に行い、その結果として造成計画の見直しを行うなど、現地の状況に応じた対応を行います。また、堆積土の流出防止工を行う場合においては、緑地保全の観点から、樹木の適切な管理が行えるような工法も検討します。 対策例 切土工+植生工 切土工により、現地の地盤を下げることで、斜面にかかる負担を低減するとともに、雨水の制御を行います。また、切土面に植生工を施す ことで、表面土の安定化を図ります。 ここに画像があります。 切土工+植生工のイメージ写真です。 画像の説明は終わりです。 対策例 ノンフレーム工法 樹木伐採や切土を行わず、現況地山のままで施工することができ、施工後も元々の景観・環境が維持できます。また、現況斜面のままで施工することで、施工時の斜面安定性の確保にもつながります。 ここに画像があります。 ノンフレーム工法のイメージ写真です。 画像の説明は終わりです。 ③パターンⅢの対応方針 パターンⅢについては、斜面地全体に対策工事が実施されているため、その構造物が適切に管理されるよう構造物の所有者に働きかけるとともに、斜面地にアクセスできる道路を配置するなど、将来に渡り、草刈、点検等の適切な維持管理が行えるよう配慮した土地利用を行います。 また、建物などの設置については宅地ごとに斜面地への影響を考慮しながら、横浜市建築基準条例を遵守した土地利用を行います。 第3章 土地利用計画 1 導入機能 本地区の跡地利用では、多世代の方々が安心して住むことができ、緑に囲まれた高台という特性を生かした、ゆとりある質の高い住宅地の整備を目指し、JR根岸駅や根岸森林公園から比較的近く、住宅需要が見込まれる地区の南側と吉野町駅側からのアクセス性を考慮した地区の北側に居住機能を配置することを基本とします。また、地区周辺の既存住宅地と隣接して居住機能を配置することにより、地区内外をまたぐ新たなコミュニティの形成を図ります(左下図参照)。 他方、超高齢社会の進展や公共施設の老朽化などの広域的な課題に対応し、地域の活性化にもつながる公共・公益施設や、山手地区などと連携した教育・研究機能を有する文教地区については、各方面からの公共交通等によるアクセスを想定し、地区の中央に配置することを基本とします(右下図参照)。 文教地区へ配置する施設については、地区内の宅地面積の約6割を占める国有地の有効活用を踏まえ、都心回帰等による新キャンパスの拡張の動きや、研究開発拠点の立地などを考慮し、産学連携が見込まれる研究のできる大学を想定します。現時点では、横浜市立大学医学部及び附属2病院等の再整備の最有力候補地としています。また、次の時代をけん引する成長分野の研究開発を促進するため、産学連携の充実に向けた土地利用を図っていくことなども引き続き検討していきます。 なお、本地区周辺を含む住民の方々が利用する日常生活を支える生活利便施設などについては、徒歩圏内で利用しやすい場所に適宜配置します。 ここに画像があります。 根岸住宅地区における居住機能等の配置図です。 画像の説明は終わりです。 ここに画像があります。 根岸住宅地区における文教地区の配置図です。 画像の説明は終わりです。 2 道路 本地区の道路については、⼦供から⾼齢者までを含む様々な利⽤者の通⾏機能や、沿道施設へのアクセス機能のほか、緑化・景観形成や延焼防⽌・避難路の確保などの公共空間として求められる機能に応じて、主要な道路や⽣活道路に区分して配置します。また、沿道の⼟地利⽤状況を踏まえて歩⾞分離等に配慮した道路形状とすることにより、⾃動⾞、歩⾏者がそれぞれ安全で快適かつ円滑に通⾏できるよう計画します。 主要な道路については、地区の⾻格を形成する道路として、周辺幹線道路に連絡させ、本地区へのアクセス性の向上を図ります。 ⽣活道路については、専ら地区内の住⺠が利⽤する道路として、地区内外を通過する⾃動⾞交通等が安易に流⼊しないよう配置⼜は道路形状を⼯夫することで良好な住環境を創出するとともに、⼤規模⽕災時には、周辺市街地から通じる⽣活道路を避難路として活⽤し、防災性の向上を図ります。 ここに画像があります。 根岸住宅地区における道路配置のイメージ図です。 画像の説明は終わりです。 3 公園・緑地 本地区の公園・緑地については、良好な住環境などを創出し、防災性の向上にも寄与できるよう、「横浜市⽔と緑の基本計画」を考慮しながら、公園を配置していきます。 ⾝近な公園については、本地区内の新たな住宅地や周辺の住宅地の居住者に寄与するよう、住宅地の整備を予定している本地区の南⻄側や、建物が密集し⽐較的公園が少ない住宅地が周辺に存在する本地区の北東側など、数箇所に分けて配置します。なお、公園の配置にあたっては、周辺地域の公園や緑地の配置状況、新たに整備する道路や公共・公益施設等との位置関係を踏まえて、バランスよく配置していきます。 また、本地区南東側の根岸森林公園に隣接する部分については、主要な道路を通⾏する⾞両と公園利⽤者の動線を分離しながら根岸森林公園を拡張し、ふれあい広場や旧⼀等⾺⾒所などのゾーンと⼀体的に利⽤できるようにするなど安全性の確保と回遊性の向上を図りつつ、周辺地区からのアクセス性を⾼めていくことや、緑を増やしていくことで、公園の魅⼒を⾼めていきます。 なお、多くの市⺠が利⽤する公共・公益施設、⽂教施設などについては、建物敷地内に憩いや賑わいをもたらす樹⽊や芝⽣などを植栽するほか、斜⾯の安全性に配慮した上で緑を連担させるなど、緑あふれる良好な景観形成を誘導していきます。 参考︓横浜市⽔と緑の基本計画・⾝近な公園は、⼩学校区を単位に、1校区当たり1か所の近隣公園、2か所の街区公園を標準として配置します。なお、公園配置に偏在がみられる地域では、公園数が充⾜している学区でも、市街地整備の状況などを勘案しながら公園を配置します。 ここに画像があります。 緑の連坦に関するイメージ図です。 画像の説明は終わりです。 4 土地利用計画(ゾーニング) 「第2章 跡地利用の考え方」や本章の内容を踏まえ、土地利用計画(ゾーニング)にまとめました。 ここに画像があります。 根岸住宅地区のゾーニング図です。 画像の説明は終わりです。 文教ゾーン 教育・研究の場である大学施設を想定し、国有地を集約します。 横浜市立大学医学部・附属2病院等の再整備の最有力候補地としています。 住宅地等ゾーン 住宅施設の立地を想定し、根岸駅や吉野町駅からのアクセス性に配慮します。 低層住宅を主とし、一部に中層住宅を想定しています。 森林公園ゾーン 根岸森林公園を拡張します。 全域 これらのほか、身近な公園をはじめとする地域に必要な都市インフラ、福祉施設、消防施設などの公共・公益施設や生活利便施設等の配置を検討していきます。また、次の時代をけん引する成長分野の研究開発を促進するため、横浜市立大学以外の教育施設や、産学連携の充実に向けた土地利用を図っていくことなども引き続き検討していきます。 広域避難場所としての機能を継続できるよう土地利用を図っていきます。 第4章 事業手法とスケジュール 1 都市基盤整備 本地区の課題として、国有地と民有地が細分化されてモザイク状に混在していることや、長年の施設提供により道路、公園、下水道などの都市基盤が未整備である状況にあります。他方、将来の土地利用計画では、まちづくりのコンセプトを踏まえ、良好な住環境の創出を図りながら文教地区としての土地利用や誘致検討のほか、アクセス性の向上や根岸森林公園との一体利用による公園の更なる魅力向上、広域避難場所の機能継続を示しています。 本地区の課題を解決し、土地利用計画を実現するためには、土地の入れ替えや集約などの土地の再配置とともに、道路や身近な公園等の公共施設の整備が必要となります。このため、整備手法としては、公共施設の整備改善と宅地利用の増進を目的とする土地区画整理事業を基本とします。 土地区画整理事業では、地権者の方々の権利を地区内に残すため、換地という手法により土地の再配置を行います。他方、道路や身近な公園等の公共施設の用地は地権者の方々から少しずつ公平に土地を提供していただくことで生み出します。なお、入れ替え等を行った土地は、位置が変わっても新たな土地の取得と見なされない不動産取得税の税制特例などの優遇措置があります。 今後は、地権者の方々の意向や、返還国有財産の効果・効率的な活用、事業採算性等を総合的に勘案し、事業スキームの具体化の検討を進めていきます。 2 まちづくりのルール 米軍施設の返還を契機に実施する土地区画整理事業を基本とした大規模な都市基盤整備に合わせ、土地利用計画の実現に向け、風致地区や用途地域、高度地区、準防火地域などの地域地区について適正な見直しを行います。 また、地区レベルのきめ細かな規制誘導や良好な市街地景観の創出を図っていくため、地区計画や建築協定、任意のまちづくりルールなどの導入について検討していきます。 3 スケジュール 本地区の返還時期は明確になっていませんが、早期に引き渡し、跡地が利⽤できるよう、令和元(2019)年11⽉に、国による原状回復作業の実施が⽇⽶間で合意されました。 国による原状回復作業が完了した後、円滑に跡地のまちづくりを進め、早期に⼟地利⽤を開始できるよう、まちづくりに係る事業計画案の作成や環境影響評価、都市計画⼿続きの準備を進めていきます。 また、本地区の⾯積は約43haと広⼤であるため、造成⼯事等の施⼯順序を⼯夫し、段階的な整備を⾏うなど、早期に整備を進めていくための対応策を講じていきます。 なお、国による原状回復作業や跡地のまちづくりに向けた造成⼯事等の⼯事中であっても、可能な限り広域避難場所の機能を維持できるよう、根岸森林公園への広域避難場所の⼀時的な集約・代替措置や⼯事の施⼯⽅法等を⼯夫するなど、関係機関等と調整しながら適切に対応していきます。 ここに画像があります。 これまでの経過と今後の流れを示したスケジュール図です。 画像の説明は終わりです。