障害のある人に対する情報保障のためのガイドライン 横浜市 目次 はじめに 3ページ 障害のある人とは 4ページ 障害のある人の情報取得・利用・意思疎通 4ページ ガイドラインの構成 5ページ ガイドラインの役割と活用 5ページ 第1章 障害の特性に応じた配慮の基本 6ページ 視覚障害のある人 8ページ 聴覚障害のある人 11ページ 盲ろう者 14ページ 音声機能障害、構音障害、吃音などのある人 17ページ 失語症のある人 19ページ 肢体不自由の状態にある人  21ページ 内部障害のある人・難病患者等 22ページ 知的障害のある人  24ページ 重症心身障害の状態にある人  26ページ 統合失調症、気分障害、不安障害などのある人 27ページ 高次脳機能障害のある人 29ページ 発達障害のある人 32ページ 色覚異常のある人 34ページ 認知症のある人 36ページ 重複障害(複数の障害を併せ有する人) 37ページ 障害のある人への配慮や対応施設に関するマーク 39ページ 第2章 場面ごとの配慮 42ページ 情報・コミュニケーションの基本的な配慮 43ページ 文書を作成するときの配慮 44ページ 文書を送付するときの配慮 46ページ 電子メールを利用するときの配慮 47ページ 窓口・受付での配慮 49ページ 対話・面談・手続の際の配慮 54ページ 会議・会合・イベント等を開催するときの配慮 60ページ 案内・表示における配慮 64ページ 福祉サービスについての情報を提供するときの配慮 65ページ 災害時・緊急時の配慮 66ページ ウェブサイト・動画等の配慮 71ページ 障害のある人への職場での配慮 73ページ ページ3 はじめに 障害者の権利に関して、平成19年9月に「障害者の権利に関する条約(障害者権利条約)」への署名がなされ、平成22年には「相互に個性の差異と多様性を尊重し、人格を認め合う共生社会を実現」を掲げるとともに、「障害者制度改革の基本的方向と今後の進め方」や「横断的課題における改革の基本的方向と今後の進め方」が閣議決定されました。その後、障害者権利条約の趣旨に沿った施策の推進を図るため、障害者差別の禁止等を盛り込んだ障害者基本法の改正が行われ、平成23年8月に施行されました。 また、平成25年6月には、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)」が制定されました。さらに、障害者差別を解消するための具体的な対応として、国や地方公共団体等において、各機関での取組に関する対応要領(ガイドライン)の策定も進められました。 こうした国内での法整備等の状況を踏まえ、平成26年1月に障害者権利条約の批准がなされました。 本市においては、障害者差別の解消を全庁的に推進していくことを目的として、平成28年2月に障害者差別解消に関する本市の取組の基本的な考え方及び取組の内容を定めた「障害者差別解消の推進に関する取組指針」を策定しました。また、同年4月に障害を理由とする差別に関する相談の対応、あっせんの手続き等を定めた「横浜市障害を理由とする差別に関する相談対応等に関する条例(平成28年横浜市条例第3号)」を施行しました。 障害者差別解消法は、障害のある人から個々の場面において社会の中にあるバリア(障壁)を取り除くために何らかの対応を必要としていると意思の表明があった場合、行政機関等や事業者は負担が重すぎない範囲で、障害のある人にとって日常生活や社会生活を送る上での障壁(社会的なバリア)を取り除くための配慮を行うこと(合理的配慮の提供)を定めています。 必要とする配慮は、障害の状況等によって一人ひとり異なるため、合理的配慮の提供にあたっては、その人の意向を確認し、場面に応じて考え、対応していくことが重要です。本ガイドラインは、コミュニケーションに関する合理的配慮(情報保障)を提供するにあたっての必要な配慮に関する情報を掲載しています。 令和6年4月の改正障害者差別解消法の施行により、これまで努力義務とされていた民間事業者による合理的配慮の提供が法的義務になりました。本ガイドラインをご活用いただき、障害のある人に対する情報保障に役立てていただければ幸いです。 ページ4 障害のある人とは 障害者基本法及び障害者差別解消法では、身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む)その他の心身の機能の障害があって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にある人のことを障害者と定義しています。障害者手帳の有無ではなく、日常生活・社会生活に困難がある人も対象になりますので、障害のある人の範囲を狭く捉えないように注意が必要です。 また、障害者差別解消法では「障害がある者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会の事物、制度、慣行、観念その他一切のもの」を社会的障壁と定義しています。 障害のある人が日常生活又は社会生活で受ける様々な制限は、障害のある人ご自身の心身のはたらきの障害のみが原因なのではなく、社会の側に様々な障壁(バリア)があることによって生じるもの(社会モデル)という視点に立ち、社会的障壁を、周囲の適切な配慮で取り除くことが大切です。 ページ4 障害のある人の情報取得・利用・意思疎通 情報通信技術が進展したことで、大勢の人がより簡単に情報を入手し、また発信できるようになりました。 障害のある人による情報取得や利用並びに意思疎通手段は、可能な限り障害の種類・程度に応じた手段を選択できるようにする必要があります。 また、障害のある人が日常生活・社会生活を営んでいる地域にかかわらず等しく情報取得・利用・意思疎通ができるようにするためには、関係機関と連携した取組みが求められています。 もちろん、障害を理由としてコミュニケーションを断つことは、障害のある人に対する不利益な取扱いになり得ます。 さらに、障害のある人は、情報があること自体を把握することができない場合や自ら求めることができない場合もあるということを理解しておく必要があります。 ページ5 ガイドラインの構成 第1章では、障害特性に応じた配慮の基本について記述しています。 第2章では、場面ごとに求められる配慮を整理し、具体的に記述しています。 ページ5 ガイドラインの役割と活用 障害のある人もない人も共に暮らしやすい社会を築くには、情報のやりとりを行う際に、障害のある人が障害のない人と同一内容の情報を同一時点において等しく取得できるようにすることが求められます。ここでは、この考え方を情報保障としています。情報保障のためには、障害のある人の特性に応じた配慮が必要です。 障害者差別解消法においては、障害のある人から求めがあった場合に限って合理的な配慮の提供が義務づけられていますが、どのような配慮ができるかあらかじめ示し、配慮を求めやすいようにすること、また、求めがなくても配慮を行うことができるよう、このガイドラインをご活用ください。